彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.2】

鎖の存在

 その日の夜。

 女子寮に持ち込んだドリッパーで菜摘スペシャルコーヒーを飲みながら得意のベリーケーキを頬張っていたら、電話が鳴った。

 ベリーケーキは三台作ってきた。一台は京子さんへ、一台はこの女子寮の皆さんにふるまうため共用部のカフェスペースへおいてきた。

 もう一台は私の分。疲れた時にいつも食べる私の元気の素。誰にもあげないんだー、うふふ。

 ベリーケーキをもぐもぐしながら、携帯電話の画面を見て固まった。

 は?うそでしょ?まさか、海外から電話してきたの?海外出張の時は、急ぎでない限り電話はしない。

 深呼吸をして通話ボタンを恐る恐る押した。すると低い怒りの声が聞こえた。
< 29 / 101 >

この作品をシェア

pagetop