彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.2】

「それはそうです。営業三部だけ知っていても役には立ちませんし、氷室商事といいう会社の概要は大分勉強できたと思います」

 営業階についた。降りてすぐは営業四部だ。

 彼が入るとざわざわしだした。彼に会釈をする人たちや手を振る人がいる。

 彼は手を上げながら、例の女子社員をイチコロにする笑顔で応えていく。

 彼の笑顔を見て黄色い声を上げる女子社員。ここでもそういうことなんだと認識した。

 でも皆、彼が三部に行くのをわかっているようで寄っては来ない。パーテーションに区切られた奥がおそらく営業三部だろう。
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