意地悪なクラスメイトが、最近甘くて困ってます


海斗くんに『待ってる』なんて言われたら、やっぱり行かないわけにはいかなくて。


私は少ししてから、体育館へとやって来た。


放課後の体育館には、初めて来たけれど。


ドリブルの音とバッシュが床を擦る音がし、コート付近にはギャラリーができていて賑やかだ。


ほんと、すごい人の数。しかも女子ばっかり。


「キャーッ」

「相楽くん、頑張ってー!」


ギャラリーの女子たちのほぼ全員が、海斗くんへと声援を送っている。


今海斗くんたちは、試合形式で練習をしているみたい。


体育館には本当の試合さながらの、緊迫した空気が漂っている。


海斗くんはどこだろう……あっ、いた。


オレンジのビブスを身につけた海斗くんは今、ドリブルをしていた。


彼の横顔はとても真剣で、思わず見入ってしまう。


海斗くんがバスケをするところは、初めて見たけれど。


走る姿も、パスをする姿も、汗を拭う姿も……すごくかっこいい。


何分か経過し、試合形式の練習もいよいよ終盤。


「相楽っ!」


ボールが今、チームメイトから海斗くんに渡った。


「海斗くーん」

「頑張ってえ」


その瞬間、女子たちの声援はより一層大きくなる。


現在、試合の点差は2点。


海斗くんのチームが負けている状況で、残り時間は30秒を切っていた。


ファンの女子たちの中に混じって、私も試合の行方をドキドキしながら見守る。

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