空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~

「ごちそうさまでした!目もお腹も大満足!ふぅ、お腹いっぱーい」

豪華なお夕食を、TOKIWAの食器と共に堪能した。

今回、私達のお食事は全てTOKIWAの食器が使われていたの。
良美さんが計らって下さったのかな。


浴衣姿で「ふー…」とお腹をさすりながらテーブルの向こう側の賢太郎さんの所へいそいそと移動する。
だって、くっついてたいんだもん。ふふ。


「ごちそうさまでした。結構な量があったけど、那知も全部食べられたな、偉い偉い。どれ……あ、ほんとだ。お腹パンパンだな」

なんて、賢太郎さんにお腹をさすられた。

「や……ぽんぽこりんのお腹を触られるのは恥ずかしいんだけど…」

「ん?そうか?じゃあ俺の腹も触っていいぞ。ほら、これでおあいこ」

って賢太郎さんが私の手を掴み、自分のお腹に当てた。

けど…

「…腹筋バキバキだから全然出てないし…」

それに引き替え、私のお腹はほんとに丸々ぽっこり。

ぷうっ、とわざとらしく唇を尖らせた。

「ははは、俺は那知のこのお腹、可愛くて好きだけどな」


なんて話していたら仲居さんが来られ、食事の片付けを終わらせると、前回と同様にすぐに別の仲居さんが来られて、今回はお布団を二組敷いてくれた。


「それではごゆっくり」と仲居さんがお部屋を出ていくと、テーブルにはさっきまではなかったワインらしきボトルとグラスが2つ。


「ワイン?賢太郎さんが頼んだの?」

「あぁ。でもノンアルな。これから2人で那知の退院祝いだ」

そう言いながら、賢太郎さんが小さめの紙袋を差し出した。

このロゴは…高級チョコの有名店だ!

「仕事で百貨店に行った時に買ってきたんだ。ワインに合いそうなのを見繕ってみたんだけど」

「賢太郎さんが選んだの?」

「あぁ」

「そうなんだ……ふふ、ありがとう!ここのチョコって美味しいのはもちろん、すごく滑らかで舌触りがいいから好きなの!あまり自分では買わないから嬉しい!」

「ん?自分では買わないって事は…男に貰ってたってことか?……んじゃ、あげない」

と、その紙袋を持った手を、座ったままひょいと上にあげた。

「えっ、違うってば、男の人じゃないよ」

「嘘つけ。自分で買わなきゃ男しかないだろ。そんなモテモテの那知にはあーげなーい」

なんて、本気ではないのが見え見えな、かわいいイジワル。

…なんだけど、私もイジワル返ししちゃうもんね!

「違うのにぃ……いーもん、賢太郎さんのイジワルっ」

ぷんっ!ってそっぽ向いて賢太郎さんから離れると、リビングのソファに座った。

また体が、ふわん、と沈む。
…この感覚、クセになりそう!ふふっ

なんてイジワルしてるのも忘れかけてたら、賢太郎さんが焦りながら隣に座ってきた。


「あの、那知、ごめん……そんな怒らせるつもりじゃなくて…」

「じゃあどういうつもりだったのっ?」

まだ少し、ぷんっ!の雰囲気を醸しながら聞くと「あー…うん……だから…」なんて珍しく言葉を濁してる。

「だから、なに?」

私も珍しくストレートに言うと、観念したのか額に手を当て、はぁー……と長い息を吐き終えると、まっすぐに私を見た。


「那知と久しぶりに…その…イチャつきたかったから……ちょっとからかってその流れで、って思ってて……だから本当に怒らせるつもりなんてなかったんだ。嫌な気持ちにさせてごめん」

恥ずかしさと申し訳なさを漂わせながらも、ちゃんと私を見て話す賢太郎さんの本心にキュンキュンしちゃう。


「ううん…私もイジワル言っちゃってごめんなさい」

「いや、俺が必要以上にからかったからさ」

「でもね、本当に男の人からは貰ってないよ」

「ん…それはいいんだ、男からだったとしても」

「ううん。あのね、毎年誕生日に霧ちゃんから貰ってるの、高級なチョコ。霧ちゃんの誕生日には私があげててね」

「そうだったのか…」

「うん、だから」

…の先は賢太郎さんの胸に抱かれて言葉が出せなかった。


「最初からこうして抱き締めればよかった…」

「……うん……」


「…ごめん、何か2人っきりでこうしていられるのが久しぶり過ぎて…嬉しすぎてどう手を出していいか迷ってた」

「ふふ、そんなの気にしなくていいのに」

「…何か…嫌われる事への恐怖心がすごくて……って結局嫌われる様なことしたんだけど」

「大丈夫だよ。私、賢太郎さんを嫌いになんてならないから。…あ、でも浮気はしないでね…」

「あぁ、浮気は絶対ない。この前言った通り、俺は那知しか愛せないし、那知が生き甲斐だからさ」

「ふふ、わかった。じゃあ退院祝いしよ!チョコ、食べていいんでしょ?」

「もちろん。…ありがと、那知」
最後にぎゅっと抱き締められ、それから2人でノンアルワインとチョコをいただいた。

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