空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~

「目を閉じて……那知」

そう当時のキスされる時の言葉が囁かれて…
期待してる気持ちを読まれたみたいでドキドキしながら、ゆっくりとまぶたを閉じ、キスを待っていると…


賢太郎さんが私に触れたのは、唇ではなく…


……手?


下ろしていた手が持ち上げられたことを疑問に思った次の瞬間、左手の薬指を奥まで滑る、少しひやりとした硬い感触…


えっ!

これって…もしかして…!


思わずパチ!とまぶたを上げると、目の前に賢太郎さんの柔らかい笑顔があった。



「那知。大人になって、俺達それぞれ希望した仕事に就いたよ。だから…俺のお嫁さんになってくれる?」

賢太郎さんが私の左手を持ち上げ、薬指に軽く口づけた。

そこで初めて薬指に目を移すと、見たこともない位キラキラとまばゆい輝きを放つ大きなダイヤのついたリングがはめられていた。


「…私がケンちゃんのお嫁さんになってもいいの…?」

瞳からほろほろ溢れる涙をそのままに、あの時の会話を再現する。


「あぁ、那知にずっと隣にいてほしいんだ。…イヤ?」


「ううん!私、ケンちゃんのお嫁さんになるっ!」

涙が止まらないまま賢太郎さんに抱きつくと、賢太郎さんもまた、私を抱き締めてくれた。


「ありがとう、那知。俺…必ず幸せにするから…!」

私の頭ごとぎゅうっと抱き締めて言うその言葉は涙声で…


「んっ…うんっ……私も…ケンちゃんを幸せにするっ…!」

賢太郎さんの浴衣が濡れるのもお構いなしに、泣きながら私も誓った。



正式なプロポーズの言葉は、ほぼ当時の…あの時の言葉のまま。

私…ずっと14年も忘れてたのに、今はそれらの全てが昨日のことの様にはっきりと思い出せる。



もしかしたら…

お父さんとお母さんが最後のプレゼントとして〝大事な約束が色褪せないように〞って、記憶をきれいに閉じ込めてくれてたのかもね…



お父さん、お母さん。

私、ケンちゃんと幸せになるから…もう大丈夫だよ。

だから、安心して空から見守っていてね…


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