空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~
「おっはよ!那知!」
「あっ霧ちゃん、おはよ!」
今朝は話したいことがあるからと、2人で示し合わせて普段より30分早く出社した。
私達の職場は更衣室がなく、オフィスに入るとすぐにデスクへ向かう。
デスク脇の個人用ロッカーにバッグなどをしまうと、スマホやハンカチなどの細々したものだけミニバッグに入れ、2人で階下にあるリフレッシュルームへ急いだ。
お昼休みは賑わうこの部屋も、今のこの時間はまだ誰もいない。
自販機で紙コップのホットコーヒーを買うと、2人並んで近くの椅子に座った。
「那知の話の前に、あたし先に言っていい?」
「うん、もちろん。何かあったの?」
「あのさ、龍綺と兄貴が今日ウチの会社に来るって」
「霧ちゃんの旦那さんとお兄さんが?…確かお二人ともウチの親会社のホールディングスにお勤めだよね。何しに来られるの?視察とか?…え、まさかウチの会社、経営とか何かマズいの…?」
「さぁ。龍綺にも、まだそれは言えないって言われてさ」
「そうなんだ……そういえば常磐社長も最近休みがちだったよね。…副社長もいつの間にか辞めてたし。人員配置が変わったりするのかなぁ」
「さぁ……ま、あたしらはデザイン専門だし、人事異動は関係ないだろうけどね」
「ん…そうだね」
「じゃあ、那知のハナシを聞こうかしら。いい出逢いがあったんでしょ?那知、マジでキレイになってるもんね。ニヒヒ」
楽しそうにほんとに「ニヒヒ」って顔の霧ちゃんに、賢太郎さんの個人情報は伏せつつ、正直に最初からお話しした。