空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~
「ケン……ありがとな……那知が最後に選んだ男がケンで、本当に嬉しいし安心したよ。あの…何だっけか…林…林田か、あの男でなくて本当によかった!」
抱擁を解いた勇貴さんに、ハンカチで顔をゴシゴシッと拭いてから尋ねた。
「林田に会ったんですよね。…彼の印象はどうでした?」
「あれなぁ……薄い奴、って感じたんだよな。言うことは一人前なんだが、那知を託すには弱く頼りなく見えてな」
「はは、それわかります。彼は本当に弱い人間ですからね。…那知はそれをわかってて、結婚しても支えていこうとしていたみたいですが」
「…結婚したら、片方だけが支えるんじゃダメなんだがな…」
「ですね。きっと林田は那知のお荷物にしかならなかったと思いますよ」
「あぁ、本当にケンが那知の旦那でよかった。……けど、うちはケンと那知の結婚に大賛成だけど、ケンの方はどうなんだ?…ケンは十和田の跡取り息子だろ?うちみたいな田舎の建築事務所の娘でいいのか?」
「…親は関係ありません。俺は那知と結婚します」
「その言い方、さてはお父上は反対されているな?」
「ふ…兄妹揃って鋭いんですね。…親父にはまだ言ってないんですが、まぁ反対するだろうと」
「そうかぁ……やっぱなぁ……つり合いが取れないか……」
「いえ、そうではないんです。……那知との結婚の反対というか、親父は俺と結婚させたい女がいるんですよ」
「ナニッ!? それはどっかのお嬢様か!?」
「親父の遠い親戚の娘なんです。十和田ホールディングスの子会社の社長の娘で……俺達きょうだいの幼馴染みでもありますが」
「そうか……それは…立場的に難しそうだな…那知は…」
「勇貴さん。先程も言いましたが、俺は那知と結婚します。誰が何と言おうと、俺には那知しかいないんです」
「だが……お父上…ホールディングスの社長を敵に回すのか…?」
そうだな…
場合によってはそうなるかもな。
でも。
「…俺は幸せになりたい。…そして、那知を幸せにしたい。ホールディングスの社長は誰でもなれる。でも……俺の代わりも、那知の代わりも、他にいるわけがなくて。…俺を幸せにしてくれるのは那知しかいないんです。だから俺は……親父を敵に回しても絶対に那知を離さない。…そう決めたんです」
「ケン……そこまで那知のこと……」
「もうこの歳なら6つ違いでもロリコンじゃないですよね、ははっ」
そう笑うと、勇貴さんが少し真面目な顔で言ったんだ。
「……これは俺が勝手に思ってることだけど……もしかしたら那知は心の奥底でケンのことを覚えてるかもしれない…」
「…えっ……」
「俺の希望的観測なだけかもしれないけどな。…でも何となくだが……さっきの那知を見てるとそう思えてならないんだ。…前に見た、林田に見せてた顔と…今日のケンに見せてる顔が明らかに違うんだよ。那知は…自分じゃ気付かない心の奥底で、ずっとケンを探してたんじゃないかって思えるよ」
「…そうですか……だったら嬉しいけど…」
「ま、紆余曲折はしたけど、結果的には親父との約束通りになるってこった。…ケンの親父さんが何て言うか分からねぇけど、微力ながら俺も力になるからな!遠慮なく頼ってくれ!な、かわいい弟よ!」
涙目でバシバシと俺の背中を叩く勇貴さんに、俺は「はい、ありがとうございます、兄さん」と笑顔で答えた。
抱擁を解いた勇貴さんに、ハンカチで顔をゴシゴシッと拭いてから尋ねた。
「林田に会ったんですよね。…彼の印象はどうでした?」
「あれなぁ……薄い奴、って感じたんだよな。言うことは一人前なんだが、那知を託すには弱く頼りなく見えてな」
「はは、それわかります。彼は本当に弱い人間ですからね。…那知はそれをわかってて、結婚しても支えていこうとしていたみたいですが」
「…結婚したら、片方だけが支えるんじゃダメなんだがな…」
「ですね。きっと林田は那知のお荷物にしかならなかったと思いますよ」
「あぁ、本当にケンが那知の旦那でよかった。……けど、うちはケンと那知の結婚に大賛成だけど、ケンの方はどうなんだ?…ケンは十和田の跡取り息子だろ?うちみたいな田舎の建築事務所の娘でいいのか?」
「…親は関係ありません。俺は那知と結婚します」
「その言い方、さてはお父上は反対されているな?」
「ふ…兄妹揃って鋭いんですね。…親父にはまだ言ってないんですが、まぁ反対するだろうと」
「そうかぁ……やっぱなぁ……つり合いが取れないか……」
「いえ、そうではないんです。……那知との結婚の反対というか、親父は俺と結婚させたい女がいるんですよ」
「ナニッ!? それはどっかのお嬢様か!?」
「親父の遠い親戚の娘なんです。十和田ホールディングスの子会社の社長の娘で……俺達きょうだいの幼馴染みでもありますが」
「そうか……それは…立場的に難しそうだな…那知は…」
「勇貴さん。先程も言いましたが、俺は那知と結婚します。誰が何と言おうと、俺には那知しかいないんです」
「だが……お父上…ホールディングスの社長を敵に回すのか…?」
そうだな…
場合によってはそうなるかもな。
でも。
「…俺は幸せになりたい。…そして、那知を幸せにしたい。ホールディングスの社長は誰でもなれる。でも……俺の代わりも、那知の代わりも、他にいるわけがなくて。…俺を幸せにしてくれるのは那知しかいないんです。だから俺は……親父を敵に回しても絶対に那知を離さない。…そう決めたんです」
「ケン……そこまで那知のこと……」
「もうこの歳なら6つ違いでもロリコンじゃないですよね、ははっ」
そう笑うと、勇貴さんが少し真面目な顔で言ったんだ。
「……これは俺が勝手に思ってることだけど……もしかしたら那知は心の奥底でケンのことを覚えてるかもしれない…」
「…えっ……」
「俺の希望的観測なだけかもしれないけどな。…でも何となくだが……さっきの那知を見てるとそう思えてならないんだ。…前に見た、林田に見せてた顔と…今日のケンに見せてる顔が明らかに違うんだよ。那知は…自分じゃ気付かない心の奥底で、ずっとケンを探してたんじゃないかって思えるよ」
「…そうですか……だったら嬉しいけど…」
「ま、紆余曲折はしたけど、結果的には親父との約束通りになるってこった。…ケンの親父さんが何て言うか分からねぇけど、微力ながら俺も力になるからな!遠慮なく頼ってくれ!な、かわいい弟よ!」
涙目でバシバシと俺の背中を叩く勇貴さんに、俺は「はい、ありがとうございます、兄さん」と笑顔で答えた。