追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる

 そんななか、

「アン!」

不意に現れるジョーは、いつものように治療院の扉を開けて中に入ってくる。
 手当てをしていた男の子が、ジョーを見て目を輝かせている。そんな男の子を喜ばせてあげたいと思い、ジョーに告げた。

「将来、ジョセフ団長と戦いたいんだって!」

 するとジョーは嬉しそうに男の子の前に座り、その頭をわしゃっと撫でた。

「頼もしいな。待ってるよ」

 男の子は嬉しそうに笑っている。ジョーはきっと、いいお父さんにもなるだろう。……お父さんか……私たち、結婚するんだよね……
 色々考えて真っ赤になってしまう私を、ジョーは再び呼ぶ。

「今日の稽古、するか?」

 私は大きく頷いていた。
< 157 / 180 >

この作品をシェア

pagetop