追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる

 

 外はすでに暗くなっていた。そして、私がこの地に来た時よりも、随分暖かくなっている。
 家々からは灯りが漏れ、楽しそうな笑い声が聞こえてくる。はじめは何も言わなかった騎士たちも、私を見て

「お疲れ様」

「お休み」

だなんて声をかけてくれるようになった。
 私はこの街が好きだ。ジョーがいて、街のみんなが幸せに暮らしている、この街が……



 家に着くと、ジョーが跪いて手に唇を当てる。

「おやすみ、アン」

 ジョーと別れるのが寂しい。だけど、一緒にいてと言えるはずもない。ジョーだって、自分の生活があるのだから。

「おやすみ、ジョー」

 そう告げると、嬉しそうに微笑んでくれる。その笑顔にいちいち胸がきゅんという。

「いつもありがとう、ジョー」

 ジョーは温かい笑みを浮かべたまま、そっと顔を近付ける。そして、頬にキスをくれる。
 かっと顔に血が上り、真っ赤になって頬を押さえる私はまた、さらにジョーの深みにはまっていくのだった。




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