吸血鬼の彼女(仮)
1章

吸血鬼の転校生が来た

「えっ。○○ちゃん彼氏出来たの!?だれだれー?」

「えー///実は………」

「いいじゃん!私の彼氏はー」

ーーーーー

朝から聞こえてくるクラスメイト達の声。
みんな恋愛の話で盛り上がってるんだなぁ。
羨ましい…。

「おーい。二学期、一発目のホームルーム始めるぞー。起立、気をつけ、礼。」

「「「おはようございます。」」」

「着席ー。さて、転校生が来た。自己紹介をどうぞ。」

先生の号令でいつも通り始まったと思ったら転校生が来るなんて…。

どんな人だろう?

《ガラッ》

ドアを開けて入ってきたのは…

わっ、イケメンの男の子!
真っ黒でキレイな髪。切れ長の澄んだ水色の瞳。
シュッとした輪郭……。王子様みたい。

「俺は夜霧ツキ(やぎり ツキ)。吸血鬼です。よろしく。」

「「……吸血鬼!?」」

私を含め、ほぼクラスの全員が反応した。
吸血鬼って、噂で聞いたことはあるけど、ほんとにいるんだ!

「「キャー///イケメン…⟡.·」」
「話しかけてみよーよー。」
「あのイケメンに血を吸われてみたい…!」

笑いかけた夜霧くんに
クラス中の女子がざわつく。
みんなの目がキラキラしてる。

私もあんな王子様みたいな男の子と話してみたい。

でも、私はきっとマトモに話せないよね。

まず、男の子とどうやって上手く話せばいいのかわからないし……。

いつか、みんなが楽しそうに話してる恋愛話に混ざってみたい。

ー恋をしてみたいなぁ。

……“恋”ってなんだろ。

「静かに。空いてる席は…。夜霧くん、空咲さんの隣に座ってください。」

えっ!?私…!?

マジか…。何か話せるといいけどっ。

「よろしく。空咲……さん」

「…………よ、ヨロシクオネガイシマス」

なんで敬語?!棒読みだし!

やっちゃったぁー。

男の子相手だといっつも固まって真顔になっちゃう。
嫌いなわけじゃないのに我ながら感じ悪い。

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