ハーフ☆ブラザー その瞳もこの唇も、僕よりまいさんの方がいやらしいのに?

6.僕の想いの負債額

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従業員専用の通用口で多香子さんと別れたあと、まいさんが申し訳なさそうに言った。
「急に、ごめん。こんなことになって。今からじゃ学校の許可も取れないし……ホントは、あんたに頼むの、よくないって解ってるけど」
まいさんの瞳が、懇願するように僕を見つめる。
「多香ちゃんのいう通り、あんたなら気心が知れてるし、引き受けてもらえると、かなり助かるんだけど。大丈夫、かな……?」
おそるおそるといった感じで訊いてくるまいさんに、僕は失笑をもらした。
「やだな、まいさん。そんなに可愛い顔で僕にお願いして、僕が断れるとでも思っているの?
僕は、僕にできることなら、なんでもまいさんにしてあげたいんだから。遠慮しないで、ね?」
隣を歩くまいさんに、首を傾けて笑ってみせる。
まいさんは、そんな僕をしばらく見つめたあと、前に向き直って溜息をついた。
「ずっと前、私、あんたの好意をむげにしておいて……なのに、こんな風に自分の都合で、あんたを利用しようとしてるのよ? ちょっとは、怒りなさいよ」
冬の空気に溶けていく、白い吐息さえも綺麗だな。なんて思っていた僕は、すねたようなまいさんのつぶやきを危うく聞き逃しそうになっていた。
うらめしいくらいに僕の心は、まいさんに付随するすべてのものに動かされてしまうんだ。
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