私の白王子と黒王子
「じゃあ私も、類におまじない」


——チュッ


そう言って私は類の頬にそっとキスをした。


類は驚いたのか目を丸くして固まっている。


「へへっ。びっくりした?」


そうだよね。大丈夫、私も自分にビックリしてるから。


人間、もう最後だと思うとこんなに勇気が出るもんなんだね。


でもやっぱり唇にはできなかった。


唯が知ったら、意気地なしって怒られそう。


——類、大好きだよ。


「じゃあ私はそろそろ行くね?」


——今までありがとうね。


「またね!」


——バイバイ!


私は最後まで笑顔で病室を後にした。
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