私の白王子と黒王子

私の王子様

——ガッシャーーーン


ガラスが割れたような音と共に、廊下が騒がしくなる。


「な、なにごと⁉︎」


「きたんじゃねぇの? ボディーガードさんが」


蓮さんの言った通り、無理やり開けられた扉から、まだ左腕をギプスで固定したままの類が飛び込んできた。


「聖奈様っ!」


「類!!」


類はすぐに私たちの拘束を解いてくれた。


「怪我はありませんか?」


「うん、大丈夫。蓮さんが一緒だったから……」


「そうでしたか……」


私は類に支えられながら立ち上がった。


蓮さんは気まずそうな顔で座ったまま。


いくら兄弟でも、急に元通りってわけにはいかないか。


でも類が蓮さんに背を向けたまま言った。


「まだ動けるだろ? お前にも働いてもらうからな、蓮」


それは類なりに、蓮さんを思ってかけた言葉だった。


「ふっ……人使い荒い兄貴だな」


心なしか、蓮さんはホッとして嬉しそうな顔をしていた気がする。
< 56 / 60 >

この作品をシェア

pagetop