俺が貴女を護ります~エリート海上自衛官の溺愛~

5話 私じゃ釣り合わないよ

 初デートから約1ヶ月後に出港があることをほのめかすメッセージを受け取り、しばらく連絡が取れないこと、会えないことがわかった。
 海上自衛隊では守秘義務があり、入出港に関する詳細をたとえ家族であっても話すことはできない。
そういった決まりがあり、いつ帰ってくるのかなどを聞いたとしてもただ相手を困らせてしまうことになる。
結芽はそれを頭に入れていたため、航平にそういったことを問うことは避けた。

 いつ帰ってくるのかもわからないというのに、出港前にお互いの仕事の都合で会うことはできなかった。
しかし、その代わりメッセージでのやりとりは可能な限りしてくれていたし、電話も何度かしていたため、適度な気分転換にもなったし、大切にされているのだとも感じたし、寂しさもそれほど感じずに過ごすことができていた。

 そして、出港してからぱったりとやりとりがなくなっていた中で、寄航先など外部との連絡ができる環境下では、航平は必ず連絡を寄越してくれて、なんだか自分が航平にとって特別な存在なのだと思わされた。

 内容は、自分は元気だから心配せずに、とか、結芽は最近どうだろうか、とか、帰ってきてからのデートが楽しみだ、とか。
 そのメッセージを何度も読んで、読む度に結芽は落ち込んだ気分も少しずつ回復するような気がして、繰り返し画面にメッセージを表示していた。

 海上自衛官である航平との一般的な遠距離恋愛とはまた違った体験を結芽はしている。
 愛する彼がすぐ連絡の取れない場所にいる不安や寂しさ、心配は付き合い始めたばかりというのもあり、なかなかなくならない。
そんな中、航平が出港中ということで夏希から飲みに誘われた。結芽はその誘いにすぐに返事をして仕事帰りに落ちあうことにした。

「どうよ、最近は」
「まあまあかな」
「嘘つけ~! 幸せオーラ漏れてるんですけど~」
「えっ、そう?」

 枝豆を食べながらサワーを流し込み、頼んでいた焼き鳥を受け取り、それをつまむ。

「鳴海ってヤツがどんな男なのかはわからないけど、結芽を傷つけたら許さないんだから」
「そんなことないから大丈夫だって! 航平くんすごく優しいし、なんだかお姫様みたいな扱い方してくれるし……」
「独身の私相手に惚気~? 仕方ないから今日は特別に許可する! 存分に報告せよ!」

夏希は結芽の背中をバシバシと叩きながら結芽と航平の関係を聞き出そうとする。

「今はたぶん出港中なんだけどね。会えない日が多くなっても寂しくならないように、寄航したら連絡もくれるし、帰ってきたらまたデートしようって話になってて……」
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