俺が貴女を護ります~エリート海上自衛官の溺愛~
「まあ正直に言えば私も航平くんと付き合うことに抵抗感はない……けど」

 結芽はだんだんと声が小さくなりながらも航平に思いを打ち明けると、航平はおだやかに笑って、結芽の手を握る。

「なっ!?」
「なら決まりだ。翌週土曜、早速だがデートに行こう」
「えっ、あっ」

 航平は結芽に断られないように勢いに乗せて次の予定を捻じ込んできた。この戦法に結芽は見事引っ掛かり、デートに行く流れになってしまう。

「さて、待っている人も増えてきたし、そろそろ出ようか」
「あ、あの」

 航平が待合スペースをちらりと見てそう言うと、テーブルの上を整理して伝票を持ち、財布を取り出し立ち上がる。結芽もつられて咄嗟に立ち上がるとよろけてしまう。

「大丈夫か?」
「う、うんっ……」

 航平は結芽の背中を片手で支えて、倒れることを防いだ。
 その腕は私服のTシャツからも窺えるほど筋肉が発達しており逞しく、ぐっと力を込めているからか少しだけ膨らんで盛り上がっている。
 そして、大きな手は背中越しであっても厚みが伝わってきた。

「すまない。お代は俺が出す」
「そんな、いいのに。私の分は私が」
「いや、いいんだ。今日は君と再会できて嬉しかったし、格好つけさせてくれ」
「……ふふ、わかった」

 格好つけさせてくれ、と正直に言ってしまうあたりもなんだか愛らしい。
それなのに、体格や声、雰囲気には頼りがいのありそうな男らしさがあるからギャップとして魅力を感じた。

 カランカラン、と玄関ドアの鈴が鳴る。

「送っていこうか?」
「いや、いいの。今日はひとりで帰りたい気分だから」
「わかった。気をつけて」
「ありがとう」

 結芽を見送って手を振る航平に手を振り返して、帰路につく。少し歩いて振り返ると、航平は逆の方に向かって歩いていった。
 その背中は広くて、抱きついてみたらどうなるのだろう、などと考えてしまった。

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