子犬系男子は待てを知らない

「あっ、あたし!?」

「はい」


驚いて大きな声を出してしまった。

仲良くしたいとか言われたけど……あれってお世辞じゃなく本気だった?


それとも……。


「少しお話がしたくて。5分だけ、二人きりでお話できませんか?」

「えっと」


愛花に視線を送ると、手でオーケーと合図してくれた。


あとは、あたしの判断だ。


首を縦に振るか振らないか。

本音は、後者が理想だけど。


上手く断る理由を見つけられなかったあたしは、桃園さんに促されるまま人目につかない木の陰まで移動した。


にしても、怖いなぁ。話ってなんなんだろ……?

どきどきと心臓が音を立てる。

そんな中、桃園さんがはっきりとした口調であたしに言った。

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