【おまけ追加】子犬系男子は待てを知らない


***



「なるほど」


文化祭の日に雪平くんに告白したこと、それから付き合いだしたこと。

正直に全部伝えると、そんな反応が返ってきた。


「なにを身構えているの?」


呆気にとられているあたしに、桃園さんが言った。


「だって」

「私が子どものように癇癪をおこすとでも思っていたような顔ね」

「……っ、そこまでは思ってないけど」


許さないとか、ありえないとか。

実際、非難の声を浴びせられることは覚悟の上で。

だから、その凛とした姿は、あたしにとってはあまりに予想外だったのだ。



「黙っててごめんなさい」


あたしはそう言って頭を下げる。


本当はもっと早くに言うべきだった。


『正々堂々と闘いましょう、藍原さん?』


そう言ってくれた桃園さんにだけは、伝えるべきだったのに。
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