子犬系男子は待てを知らない


……染み付いたものって、なかなかとれないらしい。


「気をつけます」

「少しずつでいーよ」

「うん」


暫くは慣れないかもしれないけど。

でも、ちゃんと呼びたいから。


「……諒くん」


改めて呼び直すと、


「璃子ちゃん」


といつもの優しい声が耳に届いた。

そして──。



「お誕生日、おめでとう」



次に聞こえてきた言葉にあたしは、目を見開いて固まった。

うそ……。

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