最低な元カレにフラれたらイケメン医師に成長した幼馴染からの溺愛がはじまりました。

引っ越してくる

『それなら俺がその子の父親になる』
そう告げた稔は準備があるからと言って早々に帰っていってしまった。

残された杏奈はまるで夢でも見ていたかのようにその番に呆然と立ち尽くす。

「冗談……だよね？」
冗談に決まっている。

急に父親になるなんて無理に決まっているし、稔にはなんの関係もないことだ。

それを少しでも真に受けてしまって呆然としている自分が滑稽に見えて、杏奈は強く首を振った。

早く切り替えなくちゃ。
明日まで仕事を休むことはできない。

「泣くのはやめ！　しっかりしなくちゃ」
自分を叱責してどうにか動き出すことができたのだった。