君とふたり、忘れられない初恋を。

莉音ちゃんの言うとおり、私の初恋は旭陽だった。

物心ついた時から一緒にいた旭陽をいつ好きになったのかは、定かじゃない。

だけど、ずっと一緒にいることを、心の底から望んでいた。


中学2年生の春。

「お前とはもう一緒にいたくない」

その彼から、訳も分からず突き放されて、私は失恋した。


その後間もなく病気が分かって、正直初恋どころじゃ無くなったから、この想いは忘れることが出来たけど。

余命が宣告された今、最初で最後の恋になってしまった私の初恋を、良い思い出にしたいと思った。

だから、掘り起こすと決めた。


旭陽と仲直りをして、昔みたいに幼なじみとして親しく話せるようになりたい。

それが叶えば、突然終わってしまった私の初恋もきっと。

素敵な思い出にできるから。
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