毒で苦い恋に、甘いフリをした。
「今度こそ後悔してんの?」

「今度こそってなによ」

「ごめん」

「…いいよ。あのね、そうじゃなくて」

「そうじゃないって?」

「…お弁当食べな?」

「ニカは?」

「食べるよ」

ニカが鞄からコンビニの袋を取り出した。
レタスとハムのサンドイッチ。

包みを明けて、一切れ手に取ったまま、
ニカは話し続けた。

「後悔っていうか、反省してるの」

「反省…」

「私も結芽と同じなんだよ」

「え?」

卵焼きを口に入れたときだった。
甘い味が広がって、それからニカが言った私と同じって意味が分からなくて慌てて飲み込んだ。

「私ね、小学生の頃から一緒の幼馴染がいるの」

「そうだったんだ。あれ?もしかして…」

「うん。今も一緒だよ」

「え!?誰々!?私の知ってるひと!?」

「あはは。驚きすぎ。知ってるよ。おんなじクラスだもん」

「えー!?」

教室をぐるっと見渡す。
お昼休みはほとんどの生徒が教室を出ていく。
残っている男子の中に、ニカと親しそうな人はいなかった。

「絶対に分かんないと思うよ」

「んー。私、喋ったことあるかな?」

「うん。この前」

「この前喋った男子ぃー?かっちゃん達以外なら………え、待って。嘘でしょ?」

「あはは。分かった?」

「え、黒崎くん?」
< 37 / 208 >

この作品をシェア

pagetop