本気を出したクールな後輩は一途な盲愛で攻め落とす。

1.彼との距離


糸金(いとかね)さーん!」
鴨居(かもい)さん、お疲れ様です」
「お疲れ様です。すみません、糸金さん至急で作成して欲しいプランがあるんですけど、明日までって可能ですか……?」


 彼女は入社二年目の営業、鴨居さん。まだまだ営業の仕事は大変みたいで、こういった至急の依頼を受けることは度々ある。
 本音を言えば今日は早く上がれるかな、と思っていたけれど仕方ない。


「はい、大丈夫です」
「ありがとうございます!本当にすみません!」
「いいえ」
「糸金さんにはいつも助かってます!糸金さんがいないと私、全然ダメで……っ」


 残業は大変だけど、こうやって頼られて感謝してもらえることは嬉しい。


「鴨居さんはダメじゃないですよ。一生懸命頑張ってらっしゃると思います」
「糸金さん……っ」
「はい、これ食べて頑張ってくださいね」
「あっオウルのミルクキャンディ!いつもありがとうございます!」


 オウルのミルクキャンディはオウルフーズ創業以来、ずっと看板の駄菓子として売り出している。
 ミルクの優しい味が癒されるずっと変わらないこの味が、私は大好きだった。

 仕事に集中する時のエネルギーチャージするため、私のデスクにはいつもストックがある。だからつい人にも配ってしまっていた。


< 1 / 54 >

この作品をシェア

pagetop