EASY GAME-ダメ男製造機と完璧上司の恋愛イニシアチブ争奪戦ー
 まぶしいくらいの光に目を刺激され、ゆっくりと開ける。
 すると、すぐ目の前には端正な寝顔。
 あたしは、思わずビクリとし、起き上がる。
 そして、辺りを見回し、自分が朝日さんのベッドに、彼と一緒に眠っていたのを思い出した。
 結局、あの後、ただ、うながされるまま、何をする事もなく彼の腕に包まれて眠ったのだ。
「――美里」
 そんな事を思い出していると、少しだけかすれた低い声で呼ばれ、思い切り振り返る。
「……お、おはよう、ございます……朝日さん……」
「――眠れたか」
「……ハイ。……おかげさまで」
 朝日さんは、ほんの少しだけホッとした表情を見せ、起き上がる。
 そして、そのまま、あたしに抱き着いてきた。
「あ、朝日さん……?」
「――……今日は、どこも出ないか」
「……そんな気分じゃない、かな……」
 苦笑いしながら、彼を抱き締め返した。
 やっぱり、この感触が心地良い。
 ――まるで、空いていた穴に、ピッタリとはまるような感覚。
「きゃ……っ……!」
 すると、ベッドに勢いよく逆戻りさせられた。
「あ、朝日さん⁉」
「――じゃあ、まだ寝てろ」
「え、で、でも」
「オレが全部するから。今日くらいは、甘えておけ」
 あたしは、真上に見える朝日さんをにらむ。
「嫌です。あたしだって、やりますよ」
「また、お前は……意地を張るな」
 そう言うと、彼は、あたしの首筋に口づける。
「――……んっ……あっ……⁉」
 痛みを感じるほどのそれに、ギョッとして、離れた朝日さんを見上げると、ニヤリと口元を上げられた。
「中々上手くついたな」
 そして、その指で、吸い付いたところを、そっと撫でる。
「きゃっ……あっ……ん!」
 それだけで、身体中が反応してしまった。
「……な、何するのよっ……!」
 ごまかすように朝日さんをにらむと、ごくり、と、喉を鳴らされた。
「……バカ、煽るな」
「そ、そんなコトしてないわよっ……!」
「うるさい。――もう少しつけておくか」
「えっ、やっ……!」
 朝日さんは、あたしのパジャマの襟を下げ、鎖骨の辺りに顔をうずめた。
 そして、痛みを感じるほどに吸い付かれる。
「――……あっ……‼」
 思わずのけぞってしまうほどの快感が走り、あたしは、両手で顔を隠した。
 ――うそ、何してんの、この人……!
 そんなあたしに構わずに、朝日さんは、次々と、その少しかさついた唇をあたしの肌に落としていった。
「……あ、さひ、さんっ……!」
 ようやく顔を上げた彼をにらむと、真っ直ぐに見つめられ、思わず口を閉じた。
 その目の奥に――見てはいけないような感情を見た気がして。
 けれど、それは一瞬の事で、すぐに彼はニヤリと口元を上げる。
「――まあ、今日はこんなトコにしておくか」
「朝日さんっ……‼」
 だんだん腹が立ってくる。
 あたしは、無理矢理朝日さんを押しのけて、ベッドから下りた。
「おい、美里?」
「――洗濯しなきゃ」
「だから……」
 言いかけた朝日さんを、あたしは、視線で黙らせる。

「――あたしの下着まで、一緒に洗濯する気?」

 その問いかけに、朝日さんは、三十秒ほど固まった後、バツが悪そうに頭をかいた。
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