愛されることを知らない私は、御曹司様と出会い溺愛される
「最近、陽月が元気ないみたいだったから。本当は事前にデートに誘うつもりだったんだけど、それだとまた考え込んじゃうかなと思って。断られてもいいから、今日連絡したんだ」

奏吾さんは、本当に私の性格をよく知っている。

それに私が元気がないことにも気づいてくれたことが嬉しかった。


「今日はどこに行く予定なんですか……?」


「うーん、今の所、近くのショッピングモールかな。時間の融通《ゆうずう》がきくから、陽月が疲れたらすぐに休めるし」



「……行きたい」



「え?」



「行きたいです……奏吾さん、連れて行ってくれますか?」



「……」


「奏吾さん?」


「ごめん、嬉しすぎて……じゃあ、すぐに準備して迎えに行くよ。楽しみにしてる」


奏吾さんはそれだけ言って、電話を切る。

「私と出かけたいなんて言ってくれるのは、奏吾さんだけだろうな……」

そう呟いてしまった自分が本当に可愛くなくて、私は自分に嫌気がさした。
< 26 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop