幼なじみの天才外科医に囚われたら、溺愛甘々生活が始まりました

思いがけない幸せ

徐々に梅雨が近付いてきている5月下旬。ゴールデンウィークが終わり、久々子医療センターも通常モードだ。

私はこの大型連休を利用して翔くんのマンションへ引越し、連休明けから彼のマンションから通勤している。

久々子医療センターの近くの高級マンションに住んでいる翔くんの部屋は想像していたよりも遥かに広くて、彼が当直でいない日は1人でいるのがもったいないくらいだ。

でも、家に帰れば翔くんの顔を見れる幸せ。

離れていた10年の月日を埋めるかのように、一緒過ごせる日は常にくっ付いている。主に、翔くんが私にくっ付いてくるのだけれど。

そんなことすらも嬉しくて、小さな幸せを大切にしながら1日1日を大切に過ごしている。



「今日は豚肉の角煮にしようかな」


仕事を終えた帰り道。スーパーに立ち寄り、夕食の買い出しをする私は、メニューを考えながら店内をウロウロしていた。

今日、翔くんは大きなオペが2件あり、遅くなると言っていた。大腸癌と胃癌の切除術だったけれど、どちらも長時間のオペだ。

全身麻酔の手術は同日に施行することはあまりないのだけれど、今回はオペ室の都合で同日にせざるを得なくなったらしい。


「豚肉は、疲労回復にいいって言うよね」


そんな独り言を呟きながら、豚バラのブロック肉をカゴに入れる。
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