真夜中の「いただきます」
「何を借りてきたの?」

研二の問いに、杏子は笑いながら借りてきたDVDを取り出す。それはパッケージからでもおどろおどろしさが伝わってくるホラー映画だった。それを見て研二は顔を顰める。

「杏子ちゃん、こんなの観て平気なの?ホラーはあんまり得意じゃないでしょ?」

研二の言う通り、杏子はホラーはあまり得意ではない。夏にホラー番組が放送されていると、研二と見るのだが一人では眠れず、研二にずっとしがみついたままでしか眠れなくなってしまう。

「研二くん、大丈夫だよ。今日は一晩中起きているんだよ?これを見たって二人で起きてたら怖くないって!」

「俺が我慢できなくて寝ちゃったら?」

「その時は往復ビンタでもして起こすよ!」

「笑顔で言うのやめて!怖いから!」

研二はまだ何か言っていたものの、杏子は迷うことなくDVDを入れて再生する。すぐに背筋がゾクリとするような低い音楽と共に映画が始まった。

テレビの前に置かれたテーブルの上には、ジュースとお菓子が置かれている。それに手を伸ばしながら二人は映画を鑑賞した。
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