言の葉は




いつも同じ夢を見る。


二階建ての木造で出来た家を真夜中に大きな石に座り、その漏もれ出す明かりを見つめる。


それはとても懐かしい風景のように確かに僕の心に小さな灯火ともしびを幾いくつも浮かび上がらせた。



緩ゆるやかに風が吹いて、フッと空を見上げると月が主役の物語みたいに小さな星の群れは闇夜を輝かしいものへと変えて、その夜空は息を飲むほど美しい。



大きな石から真っ直ぐ行けば玄関前の引き戸があり、その僕から見て左横には埋め立てられた井戸があり、そこには水が張はられ、大小様々な金魚がいた。


僕は家から漏もれ出す懐かしくて、温かい光に導みちびかれるみたいに引き戸を開けた。



引き戸はガラガラと音を立てて開いたが、どうやら中にいる人は誰一人として気づいていないようだった。



うん。やっぱりそうだ。と、納得する。



玄関扉を渡った先の左に階段がある。それは左側にあり、右側はガラス細工ざいくの戸が邪魔をして、その先へ進まないとあの時を見ることは出来ない。



微かすかに賑にぎわう声が聞こえる。それはとても心地好く、胸の中いっぱいに感情の波が押し寄せて来て、切なくなる。



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