なんと、世界を滅ぼすはずの魔王が仲間になりたそうに、こちらを見ています。仲間にしますか?→良い子に出来るなら、私が養ってあげる。
 確か……最終決戦の魔王の回想エピソードに、こんな場面あったと思う。別角度からになるけど、アニメの中でも、この風景なんだか見たことあると思った。

 獅子が我が子を千尋の谷へ叩き落とすように魔王は、まだ魔族として覚醒もしていないために、魔力も使えず身を守るすべも無い我が子を、その身ひとつだけで欲望渦巻く人間界へと送った。

 ギュスターヴは人の母を持ち、生粋の魔族でない。亡き母の死を悼む優しい心の持ち主で、誰とも戦いたくない争いたくないと、いつも泣いていたからだ。

 けど、そんな魔王ギュスターヴは、これから人間界でひどい迫害受けて人を憎むようになり、世界を滅ぼすという流れになってしまう。

 こうしてぼろぼろの姿の時に拾われ、悪人の奴隷に堕ち良いように使われてしまった彼は、人の邪悪面を散々に見て「人など要らない。滅ぼすべきだ」と決意し、魔族としての覚醒後、魔界へ戻ると魔王軍の全権を握るため、父親すらも自らの手で殺めてしまう。

 こればかりは、私だって同じ人としては何の言い訳のしようがない。つまり、人は滅びてしまう原因を、自ら自分たちで作り出してしまったことになる。

 ……まさに、自業自得の出来事だった。
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