佐々木くんは見えるらしい
 そして、テーブルの上にはなにもないけれど、佐々木くんは見えないなにかを撫でるような仕草をして、突然立ち上がった。

 その足は玄関を目指していて

「佐々木くん……?」

 私は彼の背中に声をかけた。

「会いに行くだけだ。時間になったら帰る」

 こちらを見ることなく、彼はぶっきらぼうに言った。
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