桜吹雪が綺麗です。

深入りしたい

 柿崎と電車に乗って、最寄り駅で降りた。
 車内では他の人とぶつからないように、柿崎が身体でかばってくれた。

「ごはん、食べてます? あの時間ならまだかな。買って帰るならどこか寄ってもいいですし……」

 控えめに提案されて、千花はそれまで考えていたことを思い切って口にした。

「そこのカフェでよければ、一緒に。カフェって名前についているけど、夜は飲み屋も兼ねているから料理も色々あって」

 駅を出てすぐの店を示して言うと、柿崎は優しげな顔をほころばせて「はい」と頷いた。
 混んでいる電車内ではあまり会話はしなかったが、軽く一杯ずつ飲んだ食事中は、六歳差をあまり感じずに話すことができた。
 合わせてくれているのかなと、思った。

 何故か当然のように食事代を払おうとする柿崎に「遠回りしてもらっているから、電車代だと思って」と言って千花が会計を済ませ、店を出る。
 徒歩十五分と伝えると「マンションの前までは」と申し出てくれたので、「それでお願いします」と歩き出した。

(彼氏とか、自分を大切にしてくれる相手がいるひとは、こうやって支えたり支えられたりして生きていくのか……)

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