心がきゅんする契約結婚~貴方の(君の)元婚約者って、一体どんな人だったんですか?~
 彼とてこれは、伝えづらかったことだろう。僕は短く礼を言うと、ジョナサンへもう下がって休むように伝えた。

 執事ジョナサンは、明日は僕より早く起きて様々な準備している必要がある。僕の帰宅がどんなに遅かろうが、それが彼の仕事だからだ。

 オフィーリアの嫌がらせは、僕よりジョナサンに利いているようだ。彼に倒れられては困る。この激務の生活が早く終わるように、祈るしかないが。

 僕はそう言い置いて、自室のある二階へと階段を上がった。短い湯浴みを終えれば、もう後は眠るしかない。

 自室の隣にある部屋の扉を見て、大きくため息をついた。当然のようにレニエラは眠っているだろうし、僕は夫なのにその隣で眠ることも出来ない。

 何年も想い続けた彼女と、こうして、せっかく結婚出来たというのに……レニエラと話せるのは、朝食を食べている時だけだ。

 これまでの行いの自業自得だと人は言うだろうが、僕は僕なりに真剣に考えた結果、秘めた恋は一生心にしまうつもりで、婚約していたオフィーリアとの結婚することを一度は選んだ。

 それが正解であるか、不正解であるか。

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