すずらんを添えて 幸せを
「教会で結婚式を挙げる時に、神様に誓うでしょう?牧師様が『汝、病める時も健やかなる時も、貧しき時も豊かな時も…』って言って」

「ああ」

「その後の『死が二人を分かつまで』って牧師様のセリフに『死が二人を分かつとも』って新郎が言葉を挟むのを何かで見たことがあるの。今の尊のお父さん、きっとそんな気持ちなんだろうな」

「死が二人を分かつとも…」

尊が噛み締めるように呟く。

「たとえ会えなくなっても、おじさんとおばさんの愛は消えてなくなったりしない。それくらいお二人の心の結びつきは強いんだなって、なんだかそんな気がするの」

「ああ、そうだな。俺もそう思う。羨ましいくらいに、お互い大切な人同士なんだ。生き別れた悲しい二人じゃない。今でも互いを愛し合っている」

私が口を開くと尊も同じ言葉を口にした。

『死が二人を分かつとも』

重なった声に、私達は顔を見合わせて微笑み合った。
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