くの一反省帖2〜カステラが待ってる〜
とは言え主君の命令とならば従わねばなるまい。

十兵衛は足取りも重く苦い思い出の地、犬鳴の里へ馬を走らせた。

しかし馬の方も足取りは重い。

「あれからまだ一月あまり…優秀な忍が任務を終えて里へ帰って来た等と言う事は、まずあるまい。やはりあやつらしかおらぬのか…」

福岡藩の情報戦略の為犬鳴の里に潜む忍、犬鳴衆と接触する事を先代主君に進言した十兵衛

しかし1ヶ月前に己の判断の甘さを痛いほど痛感させられたその身には犬鳴の里への道程が果てしない茨の道に感じられていた。
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