あなたに夢中
「やっぱり割り勘にして」

イタリアンレストランを出た先で、私がトイレに行っている間に会計を済ませてしまった渡辺君に詰め寄る。しかし彼はバッグからお財布を取り出そうとする私を制して、困ったように笑う。

「気にしないでください」
「でも……」

この前はパンケーキで今回はイタリア料理。年下の彼にごちそうしてもらってばかりでは気が引ける。

「じゃあ、今度の土曜日。一緒にパフェ専門店に行きませんか?」
「パフェ専門店?」
「はい。青果店が経営している専門店が前から気になっていたんです」

スイーツ男子ならではの誘いに心が和む。
専門店というからには、高級なフルーツをふんだんに使った贅沢なパフェが食べられるのだろうと期待が膨らむ。

「次は必ずごちそうさせてね」
「はい。お願いします」

胸のつかえが取れて自然に笑みがこぼれてしまう。

「楽しみですね」
「うん。私も楽しみ」

念願だったパフェ専門店に行けることを楽しみにしている渡辺君をかわいらしく思いながら、ふたりで笑い合って駅に向かった。
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