あなたに夢中
「俺を避けていた理由はわかりました。でも俺は堀田さんと一緒にいると楽しいし、もっと堀田さんのことを知りたいと思っています。だから距離を置こうなんて言わずに、今まで通り俺と付き合ってくれませんか?」

まるで告白されたと勘違いしそうな甘い言葉に息を呑む。でも彼が求めているのは、愛を育み合う恋人ではなく、一緒にスイーツを食べに行く相手だと心得ている。

「そんな風に思ってくれてありがとう。これからも甘い物を一緒に食べに行くスイーツフレンドとしてよろしくお願いします」
「えっ? スイートフレンド?」

私が口にした『スイーツフレンド』という言葉が珍しかったのだろう。-
渡辺君は目を丸くして声をあげる。

「うん。私、今まで友だちって呼べる人がいなかったから、渡辺君とスイーツ巡りできるのがうれしい」
「なるほど。……俺もまだまだってことですね」

私の素直な思いに耳を傾けてくれていた渡辺君がつぶやく。しかし、声が小さくてなんと言ったのか聞き取れない。

「え? なに?」
「いいえ。なんでもないです」

気になって尋ねてみても、彼は笑みをたたえてキャラメルラテを飲むだけ。
なにがおかしいのかわからないけれど、よき同僚であり、スイーツフレンドでもある人の笑顔を見られるのはうれしい。
渡辺君につられるように笑い、キャラメルラテに口をつけて癒やしのひとときを過ごした。
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