記憶を求めて、触れた優しさ。
何とかレジャーシートをひくと私たちは座り込んだ。

荷物を角において、飛ばないようにした。

「よし、これで飛ばないよね」

「卵焼き、作ってこれたか?」

「もちろん、作ってきたわよ、だって得意料理だから」

「……しってるけどな、俺は」

「え?そうなの?なーんだ、じゃあ味まで知ってるんだ」

「まあな、なんでも知る幼なじみなので」

「私の腕前を見せようと張り切ってきたのに、驚くと思ったのにー」

少しずつだけど、秀一に自分をさらけ出せるようになった気がする。

知らない自分のことを知られてるって少し怖かったけど、秀一が私を守ろうとしてくれること、伝わったから。

もう、怖くないよ。

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