記憶を求めて、触れた優しさ。

「待って、待って待って、僕も連れてって置いてかないで」

私の腕をつかもうとしてきた。

それを秀一が払って、相手のダボダボのシャツの襟を掴んで、こう言った。

「俺の女に手出そうとしてんじゃねえよ」

そう言って、その男は地面に向かって放り出された。

尻もちを着いたその男は、「うわぁぁぁぁ」と声を出してその場から居なくなった。

「秀一、………ありがとう」

「もう、記憶戻ったんだな?芹那」

「うん、秀一のこと覚えてる、思い出したよ」

前の私は、ただの幼なじみって言った。

それも思い出した。

1度告白されたことがあるんだ、秀一に。

その時は、恋なんてしたこと無かったから、考えたことなくて、ただの幼なじみでしょ?ってそう言った。

「ほんとに思い出したのか?」

「うん、かっこよかったよ、本当に、ありがとう」

もう、ただの幼なじみなんて思えない。

「当たり前のことしただけだ」
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