モウセンゴケ〜甘い香りに誘われて
鷹也side
仕事が忙しく、やっと、2週間ぶりに優香に会うことが叶った。

電話では彼女と話していたが、やはり会えると気持ちは浮かれている。

「今日は、結婚式場をまわりますからね。あなたに恥をかかせないようにと、服だけは揃えてきました」

「ありがとうございます」

「その髪は、切られないんですか?」

「そうですね…あなたと結婚する時には、整えようと思います。それまで、申し訳ないですが、この髪で我慢してください」

「いえ、ダメとかじゃないんです。ただ、目元が見えないのは、寂しいだけです」

「…はぁぁ、まったく」

久しぶりに会えたというのに、可愛いことを言われたら自制が効かなくなりそうで、運転に集中することにした。

彼女が真っ先に選んだ結婚式場は、盆地にある教会だった。

2人きりで、街を見下ろし、その向こうに見える海を眺めていたら、ここでの式を挙げたら素敵だろうと、彼女に声をかけてた。

「ここ、気に入りましたか?」

「はい、とてもいいですよね。ここ、第一候補だったんです」

「それなら、ここにしましょう。そのうち、お披露目として盛大な披露宴を別にしないといけなく、あなたには苦労かけますから、式だけは、あなたの好きな場所でしましょう」

「いいんですか?」
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