身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~
 嵯峨家は昔から名家として知られており、代々建設会社を経営している。
 
 次女の母は嵯峨家の令嬢としてしかるべき相手へ嫁ぐための縁談が進められていたらしい。
 しかし当時母には恋人がいた。それが大学で知り合った結乃の父だ。

 結婚が認められなかったため、母は父と駆け落ちし、激高した父親、当時の嵯峨家当主から縁を切られてそれきりになったらしい。
 
 嵯峨家に男子はおらず、当主亡きあとは母の姉である伯母が婿養子をとり、伯父が家を継いでいる。
 伯母は親を亡くした結乃の後見人になり引き取ると祖父母に申し出た。
 山崎の祖父は町工場で長年勤めた立派な職人だが世間のことには疎い不器用な性格だった。
 嵯峨家に行った方が結乃のためになると思い、孫を託す判断をした。
 
 一方結乃も大黒柱を失い、年金だけで生活することになった祖父母に金銭的な負担を掛けたくないと思い、嵯峨家に世話になることにした。
 しかし結乃を待っていたのは嵯峨家での冷たい仕打ちだった。
 
 伯母はなにかにつけ自分の娘と結乃を比べた。上流家庭のマナーを知らない結乃にわざと恥をかかせ『やっぱり結乃は育ちが悪いから』と嘲笑する。

 しかも目障りだと離れの部屋に結乃を追いやった。
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