【母子恋愛】かあさんの子守唄
第3話
アタシの勝手気ままが原因で、ゆうとの心が大きく傷ついた。

ゆうとは、まゆこさんと結婚したことに対して不満を言うようになった。

そう言えば、ふたりの間で最低限のスキンシップがなかったわ…

お嫁さんとおててをつなぎたい…

お嫁さんを抱きしめたい(あるいはお嫁さんから抱きしめてほしい)…

キスしたい…

お嫁さんに終始受け身になってほしい(あるいは受け身になってお嫁さんに甘えられたい)…

お嫁さんと一緒にお風呂に入りたい(またはシャワーを浴びたい)…

最低限のコミュニケーションが十分に取れてない…

これでは、結婚生活をつづけて行くことができない…

どうしたらいいの?

アタシは、ひどくコンワクした。

時は、8月の最終月曜日の昼過ぎであった。

ところ変わって、タダノ鉄鋼の工場の休憩室にて…

ゆうとは、お給料引きで注文をしたお弁当箱を食べていた。

ひとりでお弁当を食べているゆうとのもとに、会計のコウガミさんがやって来た。

コウガミさんは、自分のお弁当を向かいの席においたあと座った。

コウガミさんは、やさしい声でゆうとに言うた。

「ゆうとさん。」
「何だよ…」
「何だよって…私は一緒にお昼のお弁当を食べよと言うたのだよ〜」
「ひとりにさせてくれ!!」
「まあ、そう言わずと一緒に食べようよ…わたしは、話し合いがしたいのだよ…」
「何で話し合いをしなきゃいけないのだよ!?」
「おふたりが今後どのようにして結婚生活を送りたいのかなどを話し合いたいのだよ…」

ゆうとの向かいの席に座ったコウガミさんは、お弁当箱のフタを開けた。

コウガミさんは、おはしで卵焼きをつまんだ大きな口を開けて卵焼きを食べた。

コウガミさんは、やさしい声でゆうとに言うた。

「ゆうとさん…」
「何だよ!!」
「まゆこさんとの結婚生活は楽しいかな?」
「つまらないよ!!」

ゆうとは、冷めた声で言うたあとお弁当箱のフタを閉じた。

コウガミさんは、心配そうな声でゆうとに言うた。

「ゆうとさん…どうしたのかな…食べないのかな…お昼からの受注作業が山のようにあるのだよ…」
「いらねーよ!!」
「どれか一品食べたらどうかな…今日のお弁当は、ゆうとさんが大好きな串カツが入っているのだよ。」
「ふざけるなよボケ!!あんたはオレに命令しているのか!?」
「ゆうとさん…」

ゆうとは、コウガミさんに対してまゆこさんと離婚すると申し出た。

「オレ…近いうちにまゆこと離婚をする…」
「まゆこさんと離婚する…どうして離婚するのかな?」
「結婚生活自体が不満だから離婚する!!…家のローンをオレひとりに払わせておいて…まゆこは自分勝手なことばかりしている…パートで稼いだおカネを使ってゼータクザンマイをしているんだよ!!」
「ゼータクザンマイ?」
「そうだよ!!…だからまゆこと離婚する!!…そうなった原因は、全部あんたにあるのだよ!!」
「ゆうとさん…」
「うざいんだよ!!なにもかもがうざいんだよ!!」

思い切りブチ切れたゆうとは、お弁当箱を持って席から立った。

その後、ごみ箱にお弁当の中身を捨てた。

そして、休憩室から出ていった。

この最近、ゆうとは思う通りに働くことができずに苦しんでいた。

だから、まゆこさんと結婚したことに対して不満を口にするようになった。

本籍地を平木《いまのばしょ》に変更したことがよくなかったみたい…

アタシは、ゆうとの気持ちどころかまゆこさんの気持ちまでもを逆なでにしたと言うことに気がついてない…と思う。

どうしよう…

大失敗したみたい…
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