一匹オオカミくんと、今日も、屋上で
「あ、あの……白鳥亜子です」
唐突な自己紹介を始めると、宝生くんは「は?」と眉をピクリと上げた。
「私の名前……白鳥亜子です」
「いや、知ってるし」
「ちゃんと会話したことなかったから知らないかもしれないと思って。ほら、宝生くん学校に来たり来なかったりしてるから……」
「来たり来なかったりって。そうだとしても半年も一緒の空間で授業受けてたら覚えるだろ、普通」
宝生くんはよく喋る。
教室でもそういう風に喋れば友達なんてすぐにできそうなのに。
それに宝生くんは顔がいい。とっつきにくさを無くせば、隣のクラスの青羽くんの比にならないくらいに女子からモテそうだ。