クローン人間の僕と人間の彼女

クローン

2150年4月。
俺が生まれる50年前の事だ。

俺が住むこの日本は、少子化問題が深刻になり、手に負えない状態になっていた。


そこで政府が打ち出した少子化対策案が


『クローン人間の自由化』


だった


当時反対する国民は沢山いたらしいが、クローン人間に頼らなければ、国が滅んでしまう所まで来ていた。


そして50年経った今、日本人の約6割は”クローン人間”。


俺もその中の一人だ。


俺の名前は森本健治。
現在25歳。
そして余命は約5年。

俺の両親には健二という息子が居た。

息子の健二は30歳で病死したそうだ。


健二の髪の毛から生まれた俺は、30歳で病死するDNAまで受け継いでいる。
だから俺の余命は後5年。

両親は健二の死を諦めきれず、病気を治せる医学の進歩を期待して、俺をこの世に誕生させたらしいが、俺は後5年も生きたくない。


何故かって?


この世の中は、俺の存在を認めていない。


そして両親も俺じゃなく、健二を見ている。


生きてる事に、何の意味があるんだ…?

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