処刑回避したい生き残り聖女、侍女としてひっそり生きるはずが最恐王の溺愛が始まりました
「まあまあ、マルヴィナ。ルーク様にはお立場があるし、アメリのことも大切にしておられる。これは奥手とかいう話ではなく、時期を待っているのだ」

 見かねたロバートが仲裁に入ると、マルヴィナはそれまでの強気な姿勢を崩した。

「ロバート様。……んもう、仕方ありませんわね。でしたら事実を浸透させるしかありませんわ。お話を聞いていると、今はルーク様も精霊の声が聞えるのですわね?」
「ああ」
「ふたりがともに巫女姫としての資格があり、ふたりそろっているからこそ精霊が復活できたことを、物語にしてはやらせるのです。ベリトを倒した時に割れた精霊石、アクセサリーに加工したんでしたわね? それも展示したらいかがでしょうか」

 あの時割れた精霊石は、純度が高い貴重なものだ。フローはこれからまた新たに精霊石を作るからと、割れたかけらをルークとアメリそれぞれにくれた。
 ふたりはそれで、揃いの指輪を作ったのだ。結婚式に着けようと約束して。

「事実は物語よりも奇なり、ですわ。ふたりの力で精霊様が救われ、精霊様はふたりともに祝福をくださった。そう周知させれば、そのふたりが一緒にならない方がおかしいと、やがて皆様は自然に思うはずですわ」

 こうして、マルヴィナの提案で作られた物語は、二ヵ月後には絵本として流通し、いつしか国中の人々が知る物語となった。
 アメリとルークは国民が納得するまで、辛抱強く我慢した。
そして一年後、ともにいても拍手で迎えられるようになった頃、ようやく結婚式を挙げたのだ。
 ボーフォート公国は、フローライトの精霊に愛された国として、それからも繁栄し続けたのだった。

【Fin.】

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