激甘バーテンダーは、昼の顔を見せない。

両親





朝目覚めると、やはり東郷さんは居なかった。

そんな状況にも慣れてきた自分がいる。




今日仕事は休みだが、両親から光莉さんの件で話があると言われ…会う約束をしている。



また精算が済んでいるホテルを後にし、実家に向かった。





「…綾乃様、お帰りなさいませ」
「ただいま帰りました」


光莉さんの家に負けないくらい大きな実家。

そんな家の玄関を通って、両親の待つリビングへ向かった。


「お父さん、お母さん…。ただいま帰りました」
「綾乃…お疲れ様」


未だにアパートで一人暮らしをしている私。
実家に帰るのは年末年始くらいだ。

ソファに座り、両親と向き合う。
2人は優しい笑顔を浮かべ、言葉を継いだ。


「早速、藤山さんのお話で申し訳ないけれど。……綾乃、申し訳なかったな」


光莉さんが会社に来た日。
あの時のことが社長である父親の耳にも入っており、事の経緯を簡単に説明していた。


「鷹宮家の令嬢とお付き合いをしていたなんて…酷く驚いたよ。お見合いとは言え、綾乃を2番目と言うなんて言語道断。そんな家に綾乃を嫁がせるわけにはいかない」

「藤山物産との取引は停止させてもらった。御曹司くんには、考え直して欲しいものだ」


本当に、理解のある両親。
私の方が悪いって言われたらどうしようかと思ったけれど、そうならなくて本当に安心した。


「それで、今日帰ってきて貰ったのはね。藤山さんとのお見合いは無しになったから…綾乃には別の人とお見合いをして貰おうと思うんだ」


やっぱり、そうよね。
次のお見合いの話になるだろうと、薄々は思っていた。


事前に想定していたから…なんて答えるか、ある程度考えている。





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