恋がさえずるその瞬間
「別れようぜ」
特に驚きはしなかった。
なんとなく、少し前からそんな予感がしてたから。
「うん」
こうなったらもうどうしようとも続くことはない、というのを過去の二回で私は学んだ。
終わりと言ったら、終わりなのだ。
はぁ、とひとつ吐かれたため息。
「あっさりしてんな」
あっさり、なのだろうか。
少なくともショックは受けてるし、でも泣き喚いてまだ付き合ってほしいと言うほどでもないことをあっさりと言うのならば、そうなのかもしれない。
「そんなこと、」
「まぁでも」
ないよ、と。
そう否定しようとした言葉は、被せるような声で遮られた。
「すずは別に俺のこと、そんなに好きじゃねぇもんな」
そんなことないよ、と。
今度こそはっきり言うべきだったのに。
俯いたまま何も言えなくなった私に、ハッと嘲笑したように息を漏らした先輩が遠ざかっていくのを、ただぼんやりと聞いていた。
『すずさぁ、本当に俺のこと好き?』
『すずよりもあの子の方が、俺を必要としてくれてるから』
付き合った人数3人。
振られた回数3回。
その振られた理由が全て似たり寄ったりなのは、きっと私に問題がある。
──好きって、何なんだろう。
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