【短編】虹色に願う放課後
懐かしいなぁ……この感覚。


誕生日プレゼントで買ってもらったうさぎのキーホルダーをランドセルに付けて行ったら、あっちも色違いのものを付けていて。

『お揃いだね!』って笑い合ってた。


今、何してるのかな。


去年の夏、自転車で下校してるところを見かけたから、同じ学区内に住んでるみたいだけど……。



──キーンコーンカーンコーン。



「よし、ちょっと休憩しよっか」

「うん」



チャイムが鳴ったため、切りのいいところで中断。ペンを置いて窓の外を眺める。

今日の天気は曇り時々晴れ。予報によれば、夕方から晴れてくるとのこと。



「こういう朧げな感じ、なんだか幻想的だよね」

「そうだね」



太陽には薄く雲がかかっており、優しい光を放っている。


私も、こんなふうに優しく接することができていたら……今も隣で笑い合えていたのかな。



「──……さん、八雲さんっ。おーい」
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