捨てられた建築デザイナーは秘密を抱えた天才建築家に愛される
雨宿り
由紀は音を立てないように玄関へ。
スーツケースを再び持ち、マンションから出た。
こんなことあるはずがないと思っていた。
同棲していて、今朝だって普通で、今までだってそんな素振りは無くて。
泣きながら由紀は道を歩く。
行く場所なんてない。
ホテルに宿泊しようかと思ったが、一泊二万なんてもったいなくて入るのをやめた。
カラオケは23時までだった。
マンガ喫茶も深夜2時まで。
どこなら泊まれるのだろう?
雨が降りはじめ、歩きつかれた由紀はコンビニの隣の建物の軒下で雨宿りさせてもらうことにした。
もうこのまま朝までここで野宿してしまおうかと思うくらい、もう歩きたくない。
泣きながら座り込んだ由紀の背中に、ゴンッと扉が当たった。
「えっ、あ、す、すみません」
てっきり誰もいない建物だと思い込んでいた由紀は慌てて立ち上がる。
古い扉から出てきたのは黒髪の若い男性。
由紀は急いで涙を拭き、スーツケースに手を掛けた。
「ご、ごめんなさい。雨宿りを、すぐに退きます」
「雨宿りってことは傘がないんだろ? 中に入れ」
「い、い、いえ、とんでもないです。ここで大丈夫です」
「いいから入れって。風邪を引くぞ」
男性は由紀のスーツケースを奪うと扉の中に引き入れる。
由紀は戸惑いながら扉の中へと入った。
スーツケースを再び持ち、マンションから出た。
こんなことあるはずがないと思っていた。
同棲していて、今朝だって普通で、今までだってそんな素振りは無くて。
泣きながら由紀は道を歩く。
行く場所なんてない。
ホテルに宿泊しようかと思ったが、一泊二万なんてもったいなくて入るのをやめた。
カラオケは23時までだった。
マンガ喫茶も深夜2時まで。
どこなら泊まれるのだろう?
雨が降りはじめ、歩きつかれた由紀はコンビニの隣の建物の軒下で雨宿りさせてもらうことにした。
もうこのまま朝までここで野宿してしまおうかと思うくらい、もう歩きたくない。
泣きながら座り込んだ由紀の背中に、ゴンッと扉が当たった。
「えっ、あ、す、すみません」
てっきり誰もいない建物だと思い込んでいた由紀は慌てて立ち上がる。
古い扉から出てきたのは黒髪の若い男性。
由紀は急いで涙を拭き、スーツケースに手を掛けた。
「ご、ごめんなさい。雨宿りを、すぐに退きます」
「雨宿りってことは傘がないんだろ? 中に入れ」
「い、い、いえ、とんでもないです。ここで大丈夫です」
「いいから入れって。風邪を引くぞ」
男性は由紀のスーツケースを奪うと扉の中に引き入れる。
由紀は戸惑いながら扉の中へと入った。