七日目の恋 ダリウスとリセ・改訂版・魔法の恋の行方シリーズ

魔女は現実主義者

もし、身ごもったのなら、
生まれてくる子どものためにも、
母親の立ち位置をはっきりさせておかねばならない。

「はっ?・・だから・・」

ダリウスは何か気が付いたように、再度座りなおした。

「子どもの話が、先にでたので・・
その・・肝心な事がすっとんでしまったな」

歯切れが悪く、リセを見ていない。
その視線は、正面玄関のつる薔薇にむかっている。

「俺は・・帰る場所が欲しいと、ずっと思っていた。
あの時、確信した。
お前がいる場所が、俺の帰るべき場所だと・・」

「あの時って・・」

リセが首を傾げた。

「護衛試験・・あの礼拝堂だ」

ダリウスは上着のポケットから、
小さな小箱を取り出し、リセの目の前で開けた。

柔らかな乳白色に、
七色の光の断片が閉じ込められている、オパールの指輪。

「正式な婚姻を望む・・
これは母の指輪だが、受け取って欲しい」

そう言って、
相変わらず、ダリウスはつる薔薇の方を見続けている。

リセの顔を見ないので、本心で言っているのだろう。
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