雨の季節が終われば
泣き止むことを知らない空を見上げて、彼はため息をついた。

1年中、灰色の空のもとで育った私でさえ、梅雨や秋の長雨は憂鬱にもなる。

「はぁ…」

つられるように大きなため息をついてしまい、彼はゆっくりと私に視線を向けた。

「あ、すみません…!」

私はカフェのバイト中で、彼は窓側の席から物憂げに空を眺めていたお客様である。

「なんで謝るんですか?」

可笑しそうに尋ねる彼。
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