デス・ドール
やってくる
綾は逃げずに図書委員の仕事に参加していた。
一緒に放課後まで残ればまた襲われるかもしれないのに、その姿は気丈だった。

「やっと綾とふたりでカウンターの仕事ができる」
と、健太は喜んでいたくらいだ。

けれど、そんな楽しい仕事はあっという間に終わってしまう。

気がつけば図書室の閉館時間5分前で、私達は先生に追い立てられるようにして図書室から出てきていた。

学校内に残っている生徒はもうほとんどいなくて、廊下も外もとても静かだ。
昇降口へと向かう足取りはみんな重たくて、口数もだんだん少なくなってくる。

「1人1本な」
昇降口の掃除道具入れの中に隠しておいたバッドを健太が取り出してくれる。

バッドを手に持ってみると想像よりもずっしりと重たいことがわかった。
ピエロが襲ってきたときにこれを振り回すことなんてできるだろうか。
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